ベラさん、今朝のアサンポで落ちている手袋を発見。靴とおそろいの赤でした。
またもや異世界召喚事案ですか？
今朝のアサンポは５℃でした。寒くなりましたね。
赤手袋が気になっているベラさん可愛いね。
第1章：食いしん坊スキルの発動
ベラは、魔術師や獣人たちに見放され、一人ぼっちで異世界の暗い森に置き去りにされました。背後で獣人たちの足音が遠ざかっていくのを聞きながら、彼女はしばらくその場に佇んでいました。自分が頼りにしてきた長い眉毛も立派な口ひげも失い、代わりに与えられたのは「食いしん坊」というあまりに頼りなさそうなスキル。自分の置かれた状況に心細さと不安が募ります。
森の中はすでに夕暮れに差しかかっており、周囲は薄暗く、足元も見えにくくなっていました。風が木々を揺らし、どこからともなく不気味な鳴き声が響いてきます。枝が揺れる音や、草むらから聞こえる足音が耳に入るたび、ベラはびくっと体を震わせました。こんな場所に一匹で置かれたことが信じられず、何かに怯えながら周囲を見回しますが、助けを求める相手もおらず、ひとつの影も見当たりません。
「どうすればいいんだろう…」
ベラの心の中には、焦りと絶望が渦巻いていました。飼い主のもとで安全に暮らしてきた日々とは違い、この世界には、守ってくれる存在も優しい手もありません。ただ一匹で、恐怖と空腹と向き合うしかないのです。途方に暮れ、足取りも重く、やみくもに森の中をさまよい歩きます。
そのとき、ふと甘い香りが漂ってきました。ベラは鼻をひくひくとさせ、香りのする方を追いかけ始めます。その香りは、空腹の彼女にとって一筋の救いのようでした。彼女の鼻が、食べ物の匂いを強く引きつけるのを感じ、まるで「食いしん坊スキル」が彼女を導いているかのようでした。
しばらく進むと、森の木の間に、赤や紫の小さな果実が実っているのが見えました。ベラは駆け寄り、その実を見上げました。枝から手が届かない高さに実っているものの、その果実からは豊かな香りが漂ってきており、見ただけで美味しそうに見えました。お腹の虫がぐぅと鳴き、ベラは無我夢中でぴょんぴょんと跳ねてみますが、届く気配がありません。
しかし、このままではお腹が空いてどうしようもなくなってしまう…。意を決して、何とかしてこの果実を手に入れなければと、ベラは再びジャンプし、枝を手繰り寄せ、果実を手にしました。口に入れた果実は甘酸っぱく、少しだけ体が温かくなるのを感じました。
すると、果実を噛み砕いた瞬間、ベラの体に異変が起こりました。噛むたびに、体の内側からじわじわと力が湧いてくるような感覚が広がっていきます。その力は、今まで感じたことがない不思議なものでした。頭の中にすっと新しい知識が流れ込んでくるようで、彼女は自分の身体に備わった何かを感じ取りました。
「…食べることで、力がついてきた？」
まさか…とベラは思いましたが、体の中で確かに力が増している感覚がありました。試しにもう少し果実を食べてみると、体が軽くなり、今までよりも敏捷に動ける気がしました。どうやらこれが「食いしん坊スキル」の力の一端のようです。食べ物を摂取することで、体力や感覚が研ぎ澄まされていく。ベラは、この力があればこの森の中で生き抜けるかもしれないと感じ始めました。
その瞬間、遠くからガサガサと何かが動く音が聞こえました。ベラは反射的に振り返り、森の暗闇から現れた影に気づきます。それは、低い唸り声を上げながらこちらに向かってくる小型の魔物でした。鋭い牙をむき出しにして、まるで餌を見つけたかのような目つきで、ベラを狙っています。
恐怖が再び体を襲いましたが、今のベラは少し違います。食べ物で得た力を感じ取り、その力が自分を守ってくれるはずだという確信が心の中に湧きました。ベラは勇気を振り絞り、森の奥へと走り出します。驚くべきことに、体が軽く、足が速くなっているのを実感しました。
ベラは果実を食べたことで得た力を使い、木々の間をすり抜けながら魔物から距離をとり、巧みに森の奥深くを目指しました。しばらく走り続け、振り返ると魔物の姿は見えなくなっていました。果実によって増したスピードと俊敏さのおかげで、危険を避けることができたのです。
やがて、森の外れに光が差し込むのを見つけました。どうやら森を抜けられたようです。食いしん坊スキルによって生き延びることができたベラは、深く息をつきながら、静かに決意を新たにしました。「この力があれば、きっと私にも何かできるはず…！」
こうして、「食いしん坊スキル」の真の力に目覚めたベラは、この異世界で生き抜いていくための一歩を踏み出したのでした。
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